2008年7月22日火曜日

つまみ細工 (簪-かんざし)日本の伝統工芸

[編集] つまみ簪
やや特殊な簪としては、京都の舞妓や東京の半玉が身につけるつまみ簪(花簪)がある。 花は絹の羽二重水引細工で作られた色鮮やかなもので、舞妓が付ける花簪は月ごとに決まっており、四季の移り変わりを表現し、その舞妓の芸歴・趣味を反映させる。 舞妓になって一年未満は花の一つ一つが小さく、簪の下に垂れ下がる「ぶら」が付いているが、二年目以降はぶらが取れる。年長になる程花が大振りのものになっていく傾向がある。

十一月・紅葉の花簪
一月:「松竹梅」或いは「寒菊」など。正月(京の花街は15日まで)は「稲穂」を舞妓は髷の右、芸妓は左につける。鶴亀などを添えることも
二月:「」 他に節分のおばけに付ける「くす玉」「かざぐるま」などもある。(他に水仙を挿すこともある)
三月:「菜の花」 他に「水仙」「」「牡丹
四月:「」 他に「五郎蝶
五月:「」 他に「あやめ
六月:「撫子の花が付いている)」 他に「紫陽花
七月:「団扇祇園祭の期間(の内の7月10日頃~24日)に付ける「お祭り」
八月:「ススキ」 他に「朝顔
九月:「桔梗」 他に「
十月:「
十一月:「紅葉」 他に「いちょう
十二月:「まねき」(歌舞伎役者などの名前を記す木の看板)、(これに「餅花」の飾りが付いていることも)
顔見世公演の際に楽屋を訪ね贔屓の役者に簪の「まねき」に名前を入れてもらうという慣わしがある。

[編集] 髪の各部に挿す簪の名称
前挿し:前髪の両脇(左右のこめかみ辺り)に挿す簪をこう呼ぶ。びら簪、小ぶりな花簪など趣味的な小型の簪を使用するが、実際に挿すのは少女や舞妓などがほとんど。割れしのぶおふく髷など少女向きの髷によく見られる。
立挿し:鬢窓(びんまど:鬢の上部)に立てて装着するもの。
髷挿し:髷の前面根元に挿す簪。平打簪、玉簪、姫挿し、飾り簪などを使用しもっとも一般的な簪の飾り位置。ほとんどすべての日本髪に見られる。をここに通すときは中挿しと呼ぶ。
位置留:髷の上に装着する「橋の毛」(細長いヘアピース)を留めるもの。
根挿し:髷の後方根元に挿す簪。や平打簪などを使用し現在最も見る機会がない位置。銀杏返し先笄などに見られる。

[編集] 風俗・文学上の簪
平安時代の『源氏物語』には「かざし」「かんざし」と言う言葉が何度か登場するが、これは「挿頭」(儀式などの際に参加者が髪にかざす植物のこと)「髪ざし」(髪の様子)のこと、また髪飾りの「髪挿し」は髪上げの儀などで前額に挿す櫛を指しているので混同してはいけない。「簪」は冠の巾子(こじ)の根元から差し入れて冠を止めるもので当然男性用。
中国語本来の「簪」は杜甫の白頭掻けば更に短く、渾べて簪に勝えざらんと欲すの詩句に見られるように男性官人が冠を止めるために使ったもので、白楽天長恨歌のラストシーンで登場する楊貴妃の金の「かんざし」は「釵」である。叉と言う字を含むことから分かるように留め針は二本あり、霊となった楊貴妃は思い出の髪飾りを真っ二つにして、現世に残された皇帝に送り永遠の愛を誓う。
江戸時代将軍大名の寝所では女性は普通髪を下ろしている。別に古風に則っているわけではなくて暗殺防止のための方策であった。簪も立派な武器であり、当然身につけたまま寝所に入ることは許されない。
武器としての簪は、琉球古武術で使用されているジーファーと呼ばれる簪である。琉球では男も女も簪をしており、女性が唯一使うことのできる武器である。使い方としては、襲われた時にジーファーを相手に突き刺して、相手がひるんだ隙に逃げ出すというものがほとんどであるが、見えにくいので暗殺用としても使われた。本土でも、江戸時代の初期において上方では真鍮などで制作されていた簪が、江戸の武家階級ではより固い金属にとって変わったのも、護身武器としての効果を狙ったためである。古川柳に曰く:「かんざしも逆手に持てばおそろしい」
江戸時代も後期になると、戦もなく太平の世が長く続いていた。自然と商業中心の世の中になり、商家の財力は大きく、庶民でも様々な娯楽品を手に入れるようになる。その結果櫛やかんざしを髪に飾る女性も増えていった。そのような一般人との違いを見せつけるためか、最高級の遊女である太夫クラスでは、は3枚に簪、をあわせて20本もの鼈甲製の髪飾りをつけるにまでなった。絢爛豪華な髪飾りは「首から上の価値は家一軒」と言われ、贔屓客からの贈り物であった。鼈甲でも斑点のないものが最も高価で、斑点のない部分だけのものを特に白または白甲(しろこう)と呼ぶ。ちなみに太夫用の揃いは、江戸吉原風ならば櫛3枚、玉かんざしと松葉を各2本づつ、笄(延べ棒)1本、吉丁を12本となる(これ以外に髷の後ろにつける組み紐の飾りなどがある)。京都の島原風なら櫛3枚、笄(延べ棒)1本、平打を6~12本、長い下がりのついたびらびら簪を2本、花簪1本、勝山(つまみ簪の大きいもの)などとなる(これ以外に髷の周りにつけるかの子などがある)余談だが、江戸の力士の中には話題性を狙って遊女のように二枚の櫛を身につけていた変り種もいたという。

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